マツダ・ロードスターを駆るジェントルマンドライバーのカリスマ

2021.05.24

上田さんと知り合ったのは、アバルト TEZZO 124 RT1のテストで袖ヶ浦フォレストレースウェイに行ったときだ。彼はマツダ・ロードスターNRAで来ていた。

 

1.4ターボエンジンの124 スパイダーと1.5NAエンジン仕様のロードスターでは、当然走行スピードが違うのだが、何度か抜くタイミングで後ろから見て、走り方が上手でマナーが良いドライバーだと思った。その後、ピットで彼と色々と話してみたら、ロードスター・パーティレースに出ているとのことだった。あとで調べてみたら、富士スピードウェイでポールポジションを取っているパーティレースのトップクラスの人だった。

 

そんな折、マツダの広報から「ロードスターNRAに乗ってみませんか?」と提案され、サーキット走行もOKだと言ってくれたので、どうせだったら、上田さんが走るときに一緒にと思い、後日、彼が袖ヶ浦を走行する日に行ってみた。それが去年の3月のことだ。

 

ロードスター同士だと性能が同じなので、ずっと一緒に走れる。後輪駆動だがパワーがないロードスターにはそのクルマなりの独特の走り方があるようだった。またドライビングスタイルの違いもある。一緒に走ると、その違いが見えてきて興味深いと思ったんだ。

その後、筑波サーキットでも一緒に走ったりしたんだけど、パーティレースにエントリーしている人たちとも一緒に走ってみて、「これは面白いぞ」と思ったので、レースに出る気はないが、ロードスターNRAをまずは買ってみることにした。

 

年が明けて納車され、まだ慣らし運転中だが、それが終わったら頻繁にサーキットに出かけようと考えている。自走していけるし、筑波には旧知のメカニックがいるので何かトラブルが起きても安心だし、輸入車やハイパワー車に比べて消耗パーツ代が安いから費用を抑えられる。練習や体力増強にはもってこいだね。

 

ところで上田さんは本業が運送会社の社長らしいけど、土日だけでなくウイークデーも含め、毎週のようにサーキットに行っていて、筑波や袖ヶ浦だけでなく、ときどき宮城県・菅生サーキットに行っていたりする。

僕から見ると、「なぜそこまで?」と思う程の走りへの探求心もすごいけど、もっとすごいと思うのは、それだけ出かけても経営する会社に問題が生じない点だ。社長不在でも会社が回る仕組みができているということで、その点は大いに見習うべき点だ。

 

僕なんか、やっぱりウイークデーに出かけるとなると、何となく会社のスタッフに対して後ろめたさを感じてしまう。後継者問題も含めて、もっと経営を盤石にしなくてはならないと思うのだった。

 

ジェントルマンドライバーは、単にサーキットでの走りを突き詰めるのではなく、仕事の成功や家族の理解を含めた総合的な取り組みが求められるのだ。