普遍的な道具感をにじますジープ・コンパスはレギュラーガソリンだ!

2023.05.25

ジープといえば、以前はチェロキー、いまはラングラーのイメージが強いが、実は現行モデルのバリエーションは多彩で、現在6モデルも日本市場に導入されている。そこでジープブランドに対する知識を高めるため、全ラインナップに乗ってみることにした。 自分の守備範囲のイメージとしてはイタリア車やスポーツカーで、アメリカ車はこれまで触れ合う機会も気持ちもほとんどなかった。しかし、歳を重ねてきて同窓会で昔話に花が咲くと、必ずサーフィンなどの話題となって、そういえば雑誌のポパイに紹介されるアメリカ西海岸のライフスタイルに憧れがあったことを思い出す。絵葉書のような海岸沿いのヤシの景色やカラフルな街並み、そしてそこに一緒に描かれているアメ車、楽しそうだなあ、素敵な暮らしだな~。ジープに乗るとそんな憧れだったカルチャーに浸れるのではないかと期待して、今回、さまざまなモデルに乗ってみようと思ったのだ。

ところで先日、ジープ・コンパスと伴に、コロナ明けもあって3年ぶりに山中湖にある別荘(小さな山小屋)に出かけたのだが、周辺ではやたらにレンジローバーが多くて、その一方でジープを見かけることはまったくなかった。レンジローバーはとても良いクルマだが、多くの人が誇らしげに(ではないと思うが)乗っているとなると、避けたいな、と思うのが僕の習性だ。あえて誰も乗っていないジープが魅力的に思えた。

試乗記の第1回目としてお届けするのはジープ・コンパスだ。

コンパスは、現行チェロキーっぽいカタチをしたクルマの中で一番小さいモデルだ。兄貴分のコマンダーとシャシーが共通だが、ボディが長いコマンダーは3列シートの7人乗りで、コンパスは2列シートの5人乗りとなる。以前、ジープ・ファミリーの末っ子にあたるレネゲードに試乗したことがあるが、あのクルマはイタリア人が作ったキャラクター商品っぽくて、微妙にテイストが異なる。運転していても、自分をアピールしたいわけでもなく、誰にも見られることなく普通に乗りたいという気分だ。足グルマとして、落ち着いたもの、けれども自分に対してはこだわりを感じさせられるクルマに乗りたくなったのだ。

いまやミニバンも曲線的なラインを基調とするスタイリッシュさやキンキラの顔で、そのような状況の中にあって、ボンネットが分厚くデザインに凝っていないような無骨さがかえって新鮮だ。ジープの各モデルは普遍的な道具感がある。細かいことにこだわらないいかにもアメ車っぽい感じが残っている気がして、そこにひかれる。

コンパスは、落ち着いたキャラクターで好印象だった。走りに関してアメ車ということで昔のフカフカしたクルマをイメージしがちだが、足はしっかりしていた。この点はフィアット500Xやアルファ・トナーレなどの欧州車とさほど変わらない。

ただしエンジンは、輸入車ではもはや当たり前となるハイオク仕様ではない。最初、何も気にせず、ハイオクを入れてしまったが、レギュラーガソリン仕様という点がうれしいポイントだ。

ただ2泊分の荷物も積んで出かけてみると、ちょっとトランクが小さいかな?と思うシーンがあった。でも、日々の移動手段として普通に街中で乗ったり、道具として使うのであれば、あのトランクも満足できる広さだと思うが。

余談だが、ヘッドライトにオートハイビームという機能があって、これは対向車が来たり、いなくなったり、カーブミラーに光が反射したり、しなかったりするたびに点いたり消えたりする横着なドライバーにはありがたい機能のだろうが、いざというときにハイビームにならなかったりした。そこまで自動化する必要があるか!と思いつつ、道具としての本分に徹し、クルマが黒子となって自身の存在を消すという思想があるのかもしれない。ちなみにオートではなく、通常の点灯位置を選べば、手動でハイビームに切り替えられる。

いまはクルマがよくなってきていて、どのブランドのクルマもみんな同じクオリティになっている。もはや、アメ車だから、イタ車だからココが劣るといったような部分はなく、クルマの印象や好みで選べばいい、ということかもしれない。ファッションやライフスタイルの好みで選んだとしても失敗はないであろう。

〇スペック

Jeep Compass LIMITED

●全長×全幅×全高:4,420mm×1,810mm×1,640mm
●ホイールベース:2,635mm
●車両重量:1,600kg
●エンジン:直列4気筒マルチエア16バルブ
●排気量:2,359cc
●最高出力:129kW/6,400rpm
●最大トルク:229N・m/3,900rpm
●トランスミッション:電子制御式9速オートマチック
●使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
●タンク容量:60L
●サスペンション:前後/マクファーソン 
●ブレーキ:前/ベンチレーテッドディスク 後/ソリッドディスク 
●タイヤサイズ:前後/225/55R18

〇プライス

LONGITUDE(前2輪駆動) ¥4,690,000
LIMITED(4輪駆動/オンデマンド方式) ¥5,240,000

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