トゥインゴはダンテ・ジアコーサ設計の傑作車・FIATチンクエチェントの末裔ではないか?

2023.02.09

僕がプロデュースしているTEZZOのデモカーとして、トゥインゴを導入することにした。

エンジンは0.9Lターボで、トランスミッションは電子制御6速AT(6EDC)だ。NAエンジン仕様はさすがにパワー不足なので、デモカーとしていろんな人に乗ってもらいたいこともありMTではなくターボの付いたATを選んだ。

さらに説明すると、ATにしたのは、サーキットを走るモデル「RT1」に仕立てたいのではなく、街乗りが快適なスポーツカーを目指す「LXY」として仕上げようとしているからだ。TEZZOでは、現行モデルでこういうクルマも造れます、ということを提案したいと思っている。

TEZZOではすでにトゥインゴ用マフラーの製品ラインナップを充実させていることもあり、以前からトゥインゴのデモカーを導入しようと思っていた。しかし、世界的な半導体不足の影響などでルノーの生産が滞っていたので、すぐに買うことができる新車が存在しなかった。なかなか手に入らなかったのだ。そういった事情もあり、ユーズドカーの価格がやたら高く、新車よりも高いぐらいなので、トゥインゴを手に入れるタイミングがなかった。

新車の受注を再開したというニュースを聞いたが、それも納車はまだまだ先のことだと分かったので、販売価格は高かったが、結局、程度のいいユーズドカーをチョイスすることにした。新車を待っている時間がもったいなく「Time is Money」と思ったのだ!。

トゥインゴの現行モデルはスマート・フォーフォーと共通のプラットフォームによる兄弟車として開発されており、歴代のスマート・フォーツーがRR(=リアエンジン/リア駆動)なので、トゥインゴも同じ駆動方式だ。RRなので、ミニポルシェ的なクルマだといっていい。このサイズのコンパクトカーをRRにするメリットは、前輪の切れ角を大きくできることで驚くほど小回りがきくこと、そしてドライバ―とエンジンの距離を離すことができるので車内が静かになることなどで、デメリットは荷室が小さくなることぐらいだ。

現行型のフィアット500とRRのトゥインゴはボディのサイズが似ているので比較対象になることが多いが、フィアット500はチンクエチェントの名で親しまれている往時のモデルこそRRだが、いまのモデルはFFなので、僕はトゥインゴのほうが昔のチンクエチェントのイメージを現行500以上に持っていると思っている。

もう少しだけ昔話をすると、アレック・イシゴニスが設計したクラシックミニはFFで、ダンテ・ジアコーサが設計したチンクエチェントはRRで登場した。両方ともコンパクトカーにおける傑作コンセプトだが、RRの伝統をつないでいるのはFFになってしまったフィアット500ではなく、実はトゥインゴなのである。

クルマ好きの頭や心の中には、クラシックミニのよき思い出と同じようにRRだった時代のチンクエチェントとのドルチェヴィータもあるはずだ。いい思い出ばかり、という人も多いであろうが、僕はだからといってこの2023年にあえて旧いチンクエチェントに乗る根性はないけど、駆動方式がRRで往年の名車とイメージがダブるトゥインゴには、そこに想いを馳せる愉しみもあると思っている。ハンドルがよく切れるというメリットも健在だ。

ルノーのラインナップの中にはさまざまなスポーツモデルが存在しているが、みんなFFで、現行型のアルピーヌだけがMRなので、後輪駆動のトゥインゴはミニポルシェであり、ミニアルピーヌでもある、といえるのかもしれない。トゥインゴはアルピーヌよりも安くて4人の大人が乗れるので、お得とも言える(かもしれない)。

後輪駆動車にはリアタイヤが路面を蹴って、ボディを前に押し出しながら走る愉しさがあり、アルピーヌで感じたその醍醐味をトゥインゴでみんなに味わってもらいたいと思っている。

トゥインゴは、もとから内装のセンスもいいので、ステアリングホイールをTEZZOのバレルンガ仕様にするとかもいいアイデアだ。そして、足まわりをどうしよう、とか、RRであることを強調できるサムシングが何かないかな?とも考えている。エンジンカバーを透明にできないか?とか、そういうことだ。パワーアップも図る予定だ。

時代に逆行し、タイヤのサイズを小さいものにするとかもありかな?とか、いろいろ考えていて、デモカーとしてトータルで仕上げたい。