真夏の耐久レース「マツ耐」に挑戦!

2022.08.15

去る7月30日(土曜日)に「マツ耐」に参戦してきた。

マツ耐の正式名称は「マツダファン・エンデュランス」といって、普段の愛車でも、マツダ車に受け継がれるル・マンのスピリッツを味わってもらおうという趣旨で開催される参加型モータースポーツイベントだ。マツダ車なら参加OKだが、上位陣は現行モデルのND型(うちの車種)と先代モデルのNC型となる。先代モデルNC(2l)の方が一発は速いが、現行モデルNDの方が燃費が良い。

決勝は満タンでスタートして途中の給油はなし、最低3回以上のピットイン義務、というのがレギュレーションの核で、ふたりでも参加は可能なのだが、実際は1チーム4名で2時間30分を走るケースが多い。今回一緒にチームを組んだ僕以外の3名は、JAF戦のロードスターパーティレースに参戦しているベテラン選手たちだ。サーキットで知り合い、一緒に練習するようになった仲間で、昨年に引き続き「今年も出ませんか?」と誘ってもらった。

実はエントリーをした後で僕はコロナに罹ってしまった。しかしレース前日に10日間の療養期間から開放され、タイミングとしてはラッキーだった。

さて真夏のレースでは、エアコンを稼働させないと車内の温度が50℃以上になる。危険なので、マツ耐ではエアコンを入れなくてはならない規則だ。これは良い考えだと思う。しかし燃費を稼ぐためにエアコンを弱くするため、病み上がりでもあったし体力に心配はあった。

僕たちのチームでは、パーティレースのトップランカーの上田選手が予選アタック。見事、決勝3番グリッドを獲得した。

前日にチームから、僕がスタートドライバーを務めることが告げられた。現役時代は当たり前にこなしていたが、今となっては「緊張するなあ~。何か失敗をやらかして、バトンタッチできなかったら責任重大だぞ」などとあれこれ考えたりするのであった。

スタート進行の際、乗車してグリッド上についた僕の周りをチームメイトが取り囲む。そしてスタート準備でみんなが手を振って去っていく。不安な気持ちになる。すっかりアマチュアドライバーだな。

もう一度、レースのシナリオを考える。スタート直後の混乱に巻き込まれて中団に埋もれてしまうと、後続車とのバトルを強いられて、ガソリンを多く使ってしまうこととなる。できるだけ、最初は上位へ行けるように頑張ろう。

ローリングスタート開始、一周して本スタート。いざスタートしてみたら、みんな同じことを考えていたようで、1周目から激しいポジション争いが展開された。1コーナーで抜いたと思ったら、別のクルマから抜かれる。コーナーでもみんな横からぐいぐい入ってくる。「うわー、接触しないでくれよー」と心の中で叫ぶ。バックストレートでは3台が横並び、自分の行き場がないッ。かろうじてぎりぎり開いていたイン側につけて最終コーナーに突入。コーナーの中でも熾烈な先陣争い。

あれこれ考える間もなく、展開もよく覚えていないが、ラッキーなことに1周目で総合トップにたつことができていた。

2周目も混戦で、1コーナーで抜き返される。
このまま抜きつ抜かれつをやっていては燃料が持たない。そこで作戦変更。もう一度頑張って前に出る。そこから燃費走行&微妙なブロック作戦だ。

筑波の前半部分はコーナーが連続して抜きにくいから、僕は通常より上のギアを選択し早めにシフトアップして燃費を稼ぐ。当然に後続車が抜きにかかってくるが、そこは紳士的な範囲でブロックさせてもらう。そして抜くポイントが多い後半部分は、ペースを上げて、抜かれないようにするという作戦だ。

その後も、後続車が離れたらさらに超燃費運転に切り替える。みんなが追い付いてくる。でも僕を抜けない。そうこうしているうちに後ろが詰まって集団でバトルが始まる。きっとみんなガソリンを消費しているだろうなあ。他車の燃費が悪くなるように仕向ける頭脳作戦(?)だ。

この作戦に気づいたNC型は、パワーで勝るので僕の前に出たが、ND型は同じパワーなのでなかなか抜けずに僕のペースに付き合わされることに。申し訳ないですゥ。

集中して走っていたので何とか体力も気力も持って、自分のパートの35分を走り切り、総合2番手でピットイン。ほぼ燃料計の目盛りを動かすことなくバトンタッチすることができた。

2番手の、韋駄天・上田選手も燃費走行をしつつ速いペースで走り、トップから離れずの2番手で戻ってきた。この段階で、ガソリンが半分以上残っていた。これならトップも狙えると確信した。

ところが好事魔多し。3番手も燃費と速さをキープしていたが、ここからがドラマだった。

後半に赤旗が出てレース中断となったのだ。そしてペースカー先導でローリングスタート開始。うちのドライバーはこのノロノロ走る状態を見て急遽ピットイン、この間にドライバー交代する判断だ。

本来であれば、ペースカーの前に出られればぶっちぎりのトップとなる可能性もあった。しかしすぐに再スタートとならず、セーフティカーの走行がなぜか2周目に入ったので、わずかにタイミングがズレてドライバー交代を終えた4番手がコースインしようとしたらピット出口に赤信号が出てしまった。レギュレーションでドライバー交代が済んでも一分はピットで待機しなくてはならないので、コースインがすぐにできずタイミングがずれた。結果的に順位を落とすことに。

レース再開。赤旗中断で周回数が減りガソリンに余裕ができたことに気づいたチームから燃費運転をやめてペースを上げ始める。うちの4番手ドライバーもペースアップする。しかし最後の周で抜かれて最終順位は4位、残念ながら表彰台は逃した。

でも、ガス欠でビリとなってしまった昨年を考えると、大いに満足すべきである。手に汗握る展開に興奮の連続。耐久は頭を使う。ああ面白かった。