アルピーヌA110 TEZZO LXYを開発!~太田哲也の Go Go スポーツカー~
2022.07.08
●良い意味で乗用車的
僕がプロデュースしている「TEZZO CARS」には、ふたつのコンセプトがある。ひとつは公道も走れるが、よりサーキット走行に比重を置き、そこでの速さを追求している「RT1(ラジアル・タイヤ・ナンバー1)」もうひとつはサーキット走行を想定しつつも、ラグジュアリーなデイリースポーツとして仕立てた「LXY」だ。
アルピーヌA110のコンプリートカーは、このLXYのコンセプトが前提となる。以前、アルファロメオ4Cを通勤に使ってみようと思って購入したが、パワステが無いし、サイドシルの幅が広くて乗降性が悪いし、乗り心地もスパルタンすぎた。そのため、4Cはよりサーキット走行が楽しくなるようRT1のコンセプトで仕上げた。
その一方で、もともと乗降性や乗り心地がいいアルピーヌA110は、通勤に使うのに好都合で、いい意味で乗用車的だ。ただ通勤で使っているうちに、あまりにも乗用車っぽいので、その点が気になってきた。スポーツカーなのに内装も機能もルノーの実用車とかわらないイメージだと感じるようになったので、こちらはLXYのコンセプトでフェラーリのようなラグジュアリー&スポーティに仕上げてみたい。
●LXYの方向性で最初に手をつけたのは、いかにも実用車的な内装の品質向上だ。フロアマットやステアリングホイールをプロデュースして、よりLXYなイメージにしてみた。
ステアリングのトリコロールはいい感じで出来上がったが、もっと目立つように下側ではなく上でもよかったかな。ホイールはどうするか? 純正ホイールも特徴的で悪くないので、黒からカッパー色に塗り替えてみた。でもでき上ってみるとちょっとシブ過ぎたかな。もう少しフランス車らしい華やかさを演出したい。明るいゴールドでもよかったかな、と思っている。
●そしてマフラー
やはり気になるのがカスタムの定番、マフラーだ。見た目がミニバンなのか?と思えるようなアルピーヌA110のノーマルマフラーの見た目が好みではない。また機能的にも音量がバルブで切り替えができるのだが、スポーツモードにすればバルブが切り替わって元気でよい音がする一方で、同時にシフトタイミングも代わって、低いギアで走る設定となる。そのためスポーツモードで市街地を走っているとだんだん煩わしいと感じるようになる。それなので普段使いではスポーツモードを使用せずノーマルモード使用とするオーナーが大半だと思うが、そうなると音が物足りない(ほとんど聞こえない)。
なので、スポーツモードにせずとも気持ちのいい快適な音質とほどよい音量、しかも車検対応となるマフラーを開発することにした。ご存じの通り、加速騒音規制でちょうど良い音量と音質の「調律」が難しいのだが、なんとか試験にも受かって良いのができたと思う。日常の使用でもスポーツカーに乗っていることを意識でき、アピアランスとクオリティのアップにつながった。何よりも毎日が楽しい。
●そして車高調
アルピーヌA110は乗り心地も乗用車的で、スポーツカーというよりもコンフォートな乗り味だ。それも悪くないが、やはり、もう少し「スポーツカーらしさ」が走りにも欲しくなる。人間は欲張りなのだ(俺が?)。車高を下げて、ロールを減らしつつ、ノーマルサスのよさを残してゴツゴツしない車高調を開発した。開発にあたって試行錯誤が続いたが、その結果、普段の乗り心地は悪化せず、高速域では抜群に姿勢安定性がいい、装着すると車高が下がるので見た目がスポーツカーらしくなり、カッコいい。そしてロールが少なくなるので、カーブでも気持ちよく、また同乗者にとってもロールが少なくなるので、ノーマルサスのときよりもラクみたいだ。かなり満足できる車高調が出来上がってうれしい。
●そしてリアスポイラー
アルピーヌA110のエクステリアは、絶妙なバランスで成り立っていて、そもそも付加物を装着するのがデザイン的に難しい。でもまったくのノーマルの姿も味気ないので、リアスポイラーも開発してみた。そもそもスポイラーにするか、ウイングにするか、ということで迷っていたが、ウイング付きの限定車が登場し、それを見たときに後付け感が出ていて、ウイングはちょっと違うな、と思った。それでやっぱりスポイラーを作ることにした。
ただしリアのトランクは開けられるようにしたいので、実用性を考えるとスポイラーの装着面積が少なくなってしまうのが気になった。試作段階では実車に装着しデモカーで高速耐久テストを行った。大丈夫だと分かったものの、念のため取付けステーで補強することにした。
見た目がどうかな?と思ったけど、装着してみるとかえってデザイン的なアクセントとなりよく見える。後付け感がない感じのアピアランスになった。毎日、乗り降りするときにスポイラーを見て、楽しい気分になってくる。
●次回はエンジン回りの「お化粧」を
アルピーヌA110は、RRレイアウトだが見た目からそれがわかりにくく地味な印象だ。そのためカバーを外して乗っている。ただエンジン回りがフェラーリやアルフェロメオと違って地味な実用車風。ルノーは「見せる」ことを考えていない作りだ。だから、次のプランとして、機能性の向上にもつながるエンジンルームのデコレーションを考えている。